【ライヴレポート】狂気のガバレイヴ〈Mindfuck〉に潜入

Kamikaze主催の新しいガバパーティ「G666」が、10月17日(土)渋谷DimensionにてOldskool Hardcore Rave〈Mindfuck〉を開催した。

出演者は、DJ OFFt、tcmz、Kamikaze、DJ Chucky、Kanon、MIDI War、Coretexの7名。23時開演、早朝5時まで約6時間の熱狂の様子をレポートする。

文・写真:ヨコザワカイト
写真:名もなきフォトグラファー


 

■ 狂気のレイヴにさきがけて

 

狂気というものは、始まりも終わりもない認識の求めによって、世界と自分自身を喪失することなのである。(ピエール・クロソウスキー)

 

10月18日(日)の朝5時。僕は上裸でソーセージの匂いに包まれながら心地よい狂気のキックに体を揺らしていた。なぜ、こんなことになってしまったのか。話は6時間前に遡る。

10月17日(土)、深夜23時。気温11℃、天候は雨。僕はKamikazeの依頼を受け、ガバのイベントをレポートするという未知の経験に若干の不安と期待に胸を膨らませ、渋谷の地下クラブDimensionへと入っていった。

そもそも、ガバとは何か。

ガバというものは、始まりも終わりもないガバキックの求めによって、世界と自分自身を喪失することなのである。(ピエール・ガバスキー)

 

1990年代初頭よりハードコアテクノより派生したガバはその服装やダンス(Hakkenなどと呼ばれる)、どれをとっても異質なカルチャーの1つとして、今日も世界の一部を発狂の熱渦に叩き落としている。

性欲、食欲、あらゆる欲を吸収し、歪んだガバキックで脳を満たしていく音楽である。

 

■ ガバキックが鳴り始める

 

 

暑い日にはガバ。されど、寒い日にもガバである。

開場時間23時には、生憎の天候と寒さにも関わらずガバを愛する者たちが渋谷の地下に集結していた。

1人目のアクトDJ OFFtがガバキックを鳴らし始めると、オーディエンスの瞳孔は開き、爆音が心の臓を揺さぶり始めた。

この日のテーマは、EARLY RAVE / EARLY HARDCORE / EARLY TERROR / MILLENIUM。

どれも初期のガバを指すジャンルであるが、この日かかった曲のガバキックの音圧からはそんな年数を全く感じさせなかった。色あせるどころかどぎついほどの色彩を持ったガバが息継ぐ間も無くかかっていく。

2人目は、tcmz。事前にTwitterでは「ジャーマンハードコアセットで馳せ参じます。」という犯行予告もなされていたが、その硬い硬いキックの連続に心揺さぶられてしまった。

そしてこの時間帯より人も増え始め、会場の後方では大量のソーセージが焼かれ始めた。

黙々と食べる者、どこからともなく出てきたディルドと並べて写真を撮る者、もうぐちゃぐちゃで最高な夜。tcmzの熱演に呼応するように、ホットプレートの熱気が会場を物理的に温めていく。

続いて登場したのは、本パーティを主宰するKamikaze。上半身裸で坊主姿。見た目は完全にThunderdome(1992年より開催の世界最大のハードコアレイヴ)の映像で見たそれである。

ガバを愛した男のかけるアーリーハードコアの楽しさったらない。

ちなみに僕はというと、すでにあらゆる感覚は破壊され歪んだキックが僕の境界を揺れ動かすだけであった。遺伝子情報が書き違えられたのではないだろうかと思うほど、ガバキックの虜になっていた。

 

■ 死に近づき、脳汁がとめどなく

 

脳汁という単語があるが、気持ち良いと本当に脳に汁が流れる。「内因性オピオイド」という物質が失禁したように脳を駆け巡る。

そもそも、私たちの脳にはなぜオピオイド受容体があるのだろうか。一説によると「死へのストレス」を軽減するためだそうだ。その説が正しければ10月17日(土)から10月18日(日)にかけて、私はかなり死から解放された時間を過ごすことができた。

そんな取り止めのないことを考えていると、溶けるように時間が過ぎていく。取り返しのつかない午前1時半、DJ Chuckyが登場。先程のKamikaze含め、会場の半数以上の男が上裸でHakkenを踊っている。

あれは他人に見せつけるというより、内的な爆発運動に近い。内なる抑えきれない肉の跳躍が手先足先を踊らせているのである。あり得ないほどのBPMに対応するにはこれしかないのかもしれない。

続く、Kanon。可愛らしい見た目からは想像できない、暴虐極まりないDJプレイング。しかもレコードでのDJ(ほとんどはデータ)というガバ愛の強さである。レコードゆえのキックの味を鼓膜のどこかで感じながら、終盤戦に入り会場の熱気がさらに高まっていく。

この辺であろうか、筆者も気がつけば上半身裸になっており、仕事で入っていることも忘れ踊り始めている。記憶が若干曖昧だ。

そこからMIDI WARへ。フィメール勢の狂気ったらない。彼女はブレイクコア的な要素も取り入れ、体力の限界を超えた会場を揺さぶり続けた。

刻み続けられるアーメン。もうここまで来ると、観客側も並大抵の好きでは体力が持たない。気力を超えた、ガバへの愛が見えてくる。

最後のアクトはcoretex。半分死んでいる脳でも認知することができる技術力の高さ。あらゆるジャンルが詰め込まれ耳の奥底に叩き込まれていく。

会場のソファにはぐったりと倒れ込んでしまった観客も数名。しかし、最後までHakkenを踊り続ける猛者たちのガバへの愛には感動すら覚えるほどであった。といってもほとんどの観客は、体を少し上下することしか出来ない。それほどまでに、彼らは全力だったのである。

そして、最後もう一度Kamikazeがプレイし狂気のイベントは終了。最高のイベントに拍手が送られた。ある種狂気から解放されるように、朝方まだ暗い渋谷の街へと帰っていく観客たち。その表情はどこか満足げであった。


「G666」主宰〈Mindfuck〉

2020年10月17日(土)@渋谷Dimension

出演者:DJ OFFt、tcmz、Kamikaze、DJ Chucky、Kanon、MIDI War、Coretex

今後のイベント:〈#jaGGeddd vol.06〉

開催日時:2020年11月7日(土)23時〜
開催場所:恵比寿BATICA
料金:ADV 1,500円/DOOR 2,000円 ※1ドリンク代込み

URL:http://www.batica.jp/schedule/jaggeddd-vol-06/

Kamikaze作成のガバ予習用プレイリストはこちら:https://mozaicmagazine.jp/2020/10/31/4/