【ライヴレポート】〈re:LIVE 東京 fes〉に学ぶ新時代の「フェスのお作法」

2日目も順調に、ナラティブの共有

2日目。やや曇りだが、天候は良し。昨日の興奮冷めやらぬ中、この日も多くの観客が代々木公園を訪れた。

MCのお二人(砂糖小麦/ナウえん)の元気なヨガからスタートすると、暖かな日差しが差してくる。良い日曜日とはこういう日のことを言うのだろう。

山崎ゆかり(空気公団)、吉野友加(tico moon)、中川理沙(ザ・なつやすみバンド)の3人で結成されたユカリサのステージからスタート。

何か凝り固まったものが溶けていくように音楽が心を癒していく。3人の柔らかな歌声がバイノーラルに響いていくのを感じた。

子供がかけてゆく。そんな当たり前の光景もまるで演出かのように、見るもの全てを美しく感じさせるパフォーマンスだった。

続く、佐藤タイジのステージも素晴らしかった。フラっとあらわれたかと思うと、歪んだアコギとルーパーを使いこなしあっという間に佐藤タイジの代々木公園へ。

「変わったのだろうか?」と問いかける楽曲「朝焼けのHumanity」を聴きながら、変わったものと変わらないものを考え直す朝。力強い歌声が突き抜け、そりゃ雲に晴れ間も見えるもんだ。

徐々に人が会場を埋めた頃、加藤登紀子が登場。『Power to the people』では思わず会場の観客も確かに手を叩きながら楽しむ。ゲストとして医師・鎌田實を招き3人のトークでは音楽とメンタルヘルスの関係を熱く語る。

そして、まさにこの日にぴったりな「かりゆし58」。丁寧な歌と演奏。そして、MC。

前川(Vo.)「今年に入っていろんなものが手元から離れていってしまいました。その中で一番自分が一番もったいないなと思ったことが、“はしゃぎかたを忘れたこと”でございます。思い切り楽しんでいる姿を人に見せると何か悪いことをしているようで。それは、よくない癖です。みんながビビっている空気。でも、音楽の正体は空気振動です。それがこのステージの正体でございます。よかったら自由に遊んで同じ空気を分け合って、少しの時間ですけれども楽しいことをしていって、それを僕も自分の大切な人に見せられたらと思います。よろしくお願いします!」

まさに空気振動こそ、心を震わせるのだろう。

2日目のそして本イベントの最後を締めくくるのはSalyu。ギターの演奏は「羊毛とおはな」の市川和則がつとめた。鋭く時におおらかに彼女の歌声は姿形を変え、代々木公園の空気に充満する。

観客が集中し感動しているのが肌感覚にも伝わってきた。

最後は割れんばかりの拍手が代々木公園の空気を振動させた。

ライヴとは、公演の意味と同時に、「生きること」を表すliveの意味が立ち上がってくる。この日のイベントからは、観客の生活に根付いたリテラシーの高さを感じた。しかし、それは今日特別に実現されたものではないと思った。

その現場を守っていくには時代に合わせた現場ごとの“お作法”。納得の形は、そんなに難しいものではないのだろう。


広報担当・葛原さん コメント

〈earth garden〉ではこれまで幾つかのイベントの開催を通して、いかにポストコロナ時代に音楽フェスを開催できるのかを模索し続けてきました。その目標の一つとして、今回の代々木公園での開催がありました。

こうして開催できたのは、感染対策の徹底もありますが、お客さん側と主催側でナラティブの共有ができていたからだと改めて実感しました。あらゆるフェスが同じようにできるわけではないのでこれが唯一の正解ではないですが、それぞれが納得できる落とし所を見つけて、小さいところからでもスタートしていけばいいなと思います。