【INTERVIEW】最新映画のVHS風映画ポスターを作りまくる男・ヨロコヴの生態

きっかけは、TwitterのタイムラインにやたらVHSジャケットが流れてくるなあと思ったいたことからだった。でも、よく見ると今上映している最新映画の宣伝。「広告会社も粋なことをするなあ。」と思っていたら、よくできたファンメイドだった。

実はアナログ回帰の流れから、VHSのジャケットや昔のポスター風の画像を制作することがTwitterをはじめ、映画ファンの界隈で密かに流行り始めている。

その最前線に立っているのが、今回インタビューさせていただいたヨロコヴ氏。

彼は、どんなきっかけでVHS風の作品を作ることになったのか。また、そのルーツや今後の展望とは?

文:ヨコザワカイト


―ヨロコヴというアカウントはどのような方が運営されているのでしょうか。

ヨロコヴ:ヨロコヴはただの映画好きなフリーターです。映像業界で映画やドラマのスタッフとして働いていましたが、つい最近落ちこぼれました。いま人生の挫折の真っ只中です。

―「ヨロコヴ」という名前の由来は何でしょうか。

ヨロコヴ:特に意味はありません。謎のロシア人っぽい名前にしたかった。最初はウラジミール・ヨロコヴという名前にしようと思ってました。どうでもいいですね。

―VHS風の作品を作りはじめたきっかけはどのようなものでしたか?

ヨロコヴ:三年くらい前、映像の仕事が流れて、仕事もお金も無い色んな意味で大変な時期があって、シンドい現実から逃れる為に部屋で日がな一日スマホを眺めていた時、SNSでいろんな方々が作っているファンメイドの映画ポスター群を見つけて「こういうの俺でも作れないかな?」と有り余り過ぎる時間を潰すために、軽い気持ちで色々と試しながら画像を作ってみたのが始まりです。そんな事してる場合じゃないのに。

―いいじゃないですか(笑)。

ヨロコヴ:しばらくして自作をSNSに上げ始めました。元々仕事にしていたくらい映画好きだし、単純に画像を作るのが楽しいのもあるんですが、色んな人たちから見てもらえてダイレクトに反応が来るのも嬉しくてドンドン画像を制作しました。『アントマン』のペイトン・リード監督や浅野忠信さんからも突然リプライが来たりして、「これはヤバい」と完全に味をシメてさらにドハマりしていきました。創作欲も承認欲求も満たせる「面白い遊び」を見つけたぞと思いました。

―はじめて作った作品は何でしょうか?

ヨロコヴ:ポスターは『マイティ・ソー/バトルロイヤル』を70年代のドラマ版のキャストに置き換えたネタ的なポスター。VHSだと『ザ・プレデター』が最初です。どちらも今以上にヒドい出来。

―ヨロコヴさんがお好きなVHSジャケット/ポスターは何でしょうか?

ヨロコヴ:檜垣紀六さんの洋画ポスターや70年代東映のアウトロー映画のVHSのデザインも大好きなんですが、 画像を作る上で自分の中のベースになってるのは東宝特撮映画かなという気がします。とにかく溢れ出る有無を云わせぬ王道感、劇中以上にアゲアゲなビジュアルと惹句のハッタリ感も含めてもう無敵です。

ヨロコヴ:あまり隠せていませんが高橋ヨシキさんと HIGH-BURN VIDEOのミヤジさんが手掛けられたデザイン群にも多大な影響を受けています。実はこういうコトをやってる割に僕はVHSを一本も持ってないので本当に好きなマニアの方々からしたら「コ イツ何にもわかってねぇな」とか思われてそうで、それに関してはもうマジですいませんというカンジです・・・。

―デザインへのこだわりや、表現したいものなどがあれば教えてください。

ヨロコヴ:僕は様々なジャンルの映画がカオスに乱立していた昔の映画館やビデオブームが起きていた頃のレンタルビデオ屋のなんだかいかがわしくて少しコワいけど心底ワクワクするような雰囲気に猛烈な憧れがあります。僕は90年生まれなんですが、本格的に映画にハマりはじめた中高生の頃にはもうそのカンジはだいぶ薄れていたし、都会の人なら名画座や大きいレンタルビデオ屋でその片鱗をディープに感じたり、実際に漁って見ることも出来たかもしれないけど、僕は文明から隔絶された九州のド田舎の島(映画館は電車で片道1時間半、唯一あった個人経営のレンタルビデオ屋は品揃えと店主の態度が超最悪)に住んでいたので上京するまでは、ほぼ成す術がありませんでした。そういう憧れや触れたくても深く触れられなかったカルチャーへの悔しさとかを自分の中で解釈して作品として表現出来ていればなぁと思っています。

ヨロコヴ:あとこれは本当にどうでもいいんですが、僕は自作が褒められるとすぐ調子に乗ってしまうので「お前が作っているものはネットの海にさらけ出してる単なる自慰行為に過ぎないんだからあんま調子に乗んな」という自戒の意味を込めてVHSジャケットの管理番号はいつも「0721」にしています。しょうもないですね。

―ヨロコヴさんの作品を見ていると、アナログへの魅力と言いますでしょうか、手に取りたくなるような感覚になります。なぜ、この時代にVHSなのでしょうか

ヨロコヴ:配信がメインの時代に世間的にVHSというメディアが一周して俯瞰的に再評価されているカンジがありますよね。数年前にドキュメンタリーが作られたり、最近でも渋谷のツタヤでVHSコーナーが再展開されたり。僕自身は正直、「なぜこの時代にVHSなのか」とあんまり考えたことがないです。前の回答とカブりますが、「好きと憧れと承認欲求」でやっているので。それをブツけるのにはVHSジャケット画像が一番シックリとハマったのかもと。画像制作は映画のプロにもマニアにも普通の大人にもイマイチなれなかった中途半端な自分への慰めにもなっているような気もします。やっぱ0721だわ。

―作品の制作方法について明かせることがありましたらお答えください。

ヨロコヴ:全てスマホ一台で加工アプリ等を複数駆使しながら制作しています。使えそうな素材画像をネットで探して、タイトルロゴを手書きして、それらを切り抜いて透過画像にして、レイヤーを試行錯誤しながらひたすら良いカンジになるまで重ねまくって加工して…。小さい画面に向かってチマチマ時間をかけながら(約10時間程)やっています。おかげで最近視力がガンガン落ちてるんですが。パソコンでフォトショップ等を使って同じよう創作活動をされている方々に比べたら格段にクオリティは低くなるので僕はもうネタとインパクトと数、作るスピードで勝負するしかないです。今のところは。

―最後に、今後の展望や展開、夢、野望などあれば教えていただきたいです。

ヨロコヴ:もっと色んな人に自作を見てもらいたいなというのと、映画関係でオフィシャルに何かお仕事の話とか頂けたら嬉しいですね。実は今年のアタマに某配給会社さんから仕事のお話を頂いたんですがコロナの影響で流れてしまってエラい悔しい思いしたりもしたので。とてつもないクオリティのファンメイドを作る人たちがウジャウジャいる中で果たしてスマホでこんなコトやっている奴に未来はあるのかは微妙ですが、やっぱり0721だけじゃ終わりたくないなぁと思っています。あとバイトを減らしたい…。


ヨロコヴ Twitter:@yorokovu0721

ヨロコヴ Instagram:https://www.instagram.com/yorokovu/